彼は一人で旅に出ていた。極寒の中ただひたすら車を走らせる彼の脳裏に、愛していた彼女との日々が浮かぶ。彼女は自ら命を絶っていたのだ。全然知らないで観たのだけど、監督の北田直俊氏は実際に戀人を自殺で失った経験があるらしく、この映畫は彼の”喪の仕事”として制作されたものになっています。監督が主演も自身で務めていて、映畫の半分以上を占める一人旅のシーンはほとんど(全て?)を実際に一人で旅して一人で撮影してきたもののようです。この上なく完全な”私”映畫なのです。それだけに畫面全體から発せられる思い入れの強さがこの映畫の全てを支配しています。良くも悪くも監督の想いだけが畫面に満ち溢れていて、正直観客側も気が重くなるほどの迫力があります。ただ観た時點ではそういう監督のバックボーンを知らず、思い入れが強すぎるだけの素人映畫に見えてしまったのは事実です。延々と映し出される旅の行程は長すぎるし、その合間に挿入される、カット割りも無いままボソボソと続く會話シーンは飽きてしまいます。だから映畫そのものの評価としてはあまり高くは無いのですが、監督の想いの表現方法としては伝わるものがあります。僕は先に監督のことを知らなかったのですが、先に知っててこの映畫を観たほうがよかったのか、知らなくてよかったのかはちょっと分かりませんね。どうかな。しかし往年の人気AV女優広末奈緒さんをヒロインにしているようにちょっとハードなシーンがあって18禁映畫になっていますが、特に濡れ場のハードさに意味は感じないので、一般映畫にしておいたほうがよかった気もします。たぶんこれも監督の思い入れの強さの現われなんでしょうけどね。あと殘念だったのは設備的なものだと思うけどセリフが聞き取りにくくてちょっと難儀しました。おかげでよくわからないシーンとかもありました。セリフ命的なシーンもあったように思うんだけどね。